障害のある児童生徒等に対する早期からの一貫した支援について(通知)
  2014/4/27
説明セツメイ  平成25年10月4日に表記の通知が出されました。題目が「早期からの一貫した支援」のため、分かりにくいのですが、学校教育法施行令の一部改正に伴う一連の通知の一つであり、かつ、平成14年の「障害のある児童生徒の就学について(通知)」(平成14年5月27日付け14文科初第291号)に代わる通知でした。詳しくは、http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1340331.htm をご覧いただくとして、ここでは、平成14年通知とどう変わっているかを検討します。
本文ホンブン  中央教育審議会初等中等教育分科会報告「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(平成24年7月)」における提言等を踏まえた,学校教育法施行令の一部改正の趣旨及び内容等については,「学校教育法施行令の一部改正について(通知)」(平成25年9月1日付け25文科初第655号)をもってお知らせしました。この改正に伴う,障害のある児童生徒等に対する早期からの一貫した支援について留意すべき事項は下記のとおりですので,十分に御了知の上,適切に対処下さるようお願いします。
本文ホンブン  なお,「障害のある児童生徒の就学について(通知)」(平成14年5月27日付け14文科初第291号)は廃止します。
説明セツメイ  恐らく,最大の変化点は、 (1)就学先の決定 の項で、「その者の障害の状態,その者の教育上必要な支援の内容,地域における教育の体制の整備の状況その他の事情を勘案して,○○○○に就学させることが適当であると認める者を対象として,適切な教育を行うこと。」が特別支援学校でも、特別支援学級でも、通級による指導においても書き加えられています。この記載の中の「地域における教育の体制の整備の状況」は、障害者基本法や障害者の権利条約には無く、上記の中教審の報告(平成24年7月)で導入された「基礎的環境整備」に近い概念である点に注意が必要です。
本文ホンブン  視覚障害者,聴覚障害者,知的障害者,肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)で,その障害が,学校教育法施行令第22条の3に規定する程度のもののうち,市町村の教育委員会が,その者の障害の状態,その者の教育上必要な支援の内容,地域における教育の体制の整備の状況その他の事情を勘案して,特別支援学校に就学させることが適当であると認める者を対象として,適切な教育を行うこと。
説明セツメイ  上記のように、明確に市町村教育委員会が就学先を決定することが、明記され、保護者の意見は「可能な限りその意向を尊重しなければならないこと。」に止められている。しかし、平成14年の通知では、以下の様に述べられていますので、以前に比べると、意見を尊重する程度には格段の違いがあると認識する必要があるでしょう。
キュウ通知ツウチ (二) 就学指導に当たっての留意事項(平成14年の通知)
市町村の教育委員会は、障害のある児童生徒の就学に関して、学校の校長との連絡が重要であるとともにその障害に応じた教育内容等について保護者の意見を聴いた上で就学先について総合的な見地から判断することが大切であること。具体的には、就学指導委員会において保護者の意見表明の機会を設ける等の方法が考えられること。
説明セツメイ  前述の、特別支援学校へ就学させると教育委員会が決定したモノについて、今回の通知では『認定特別支援学校就学者』という用語が使われていません。通知よりも、施行令が上位なので、通知に書かなくても正式には『認定特別支援学校就学者』という事なのでしょうが、個人的な印象では、『認定特別支援学校就学者』という用語は屋上屋を重ねるのではないかと思えるので、使わない方向の方が良いのでは無いかと思います。
 また、私の解説ではこれまでの文科省の調査研究協力者会議等の報告から『個別の教育支援計画』の作成が必須と予測していましたが、サポートファイルなども入り、若干弱まった様子です。
 以下の表では、左に平成ヘイセイ14ネンの旧通知、右に今回の通知を比較できる様にまとめました。両者の比較で、今回の通知で変化のあるところは枠の中を黄色に塗っています。旧通知は緑色に塗っています。
 
 基本的に、施行令22条の3の就学基準に変わりがないこともあり、フタつの通知ツウチ内容ナイヨウが同じ部分(ワク着色チャクショクせず)がかなり多いと思います。
  就学基準に関連する記載の比較
  平成14年 障害のある児童生徒の就学について(通知) 平成25年10月4日通知
     1 障害のある児童生徒等の就学先の決定に当たっての基本的な考え方
(1)基本的な考え 第一 障害のある児童生徒の就学すべき学校の決定及び障害の判断に当たっての留意事項 (1)基本的な考え
障害のある児童生徒の就学すべき学校の決定及びその障害の判断に当たっての留意事項は、次に掲げるところによることとし、特に、障害の判断に当たっては、障害のある児童生徒に最もふさわしい教育を行うという視点に立って、教育学、医学、心理学等の観点から専門家の意見を聴いた上で総合的かつ慎重に行うこと。  障害のある児童生徒等の就学先の決定に当たっては,障害のある児童生徒等が,その年齢及び能力に応じ,かつ,その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするため,可能な限り障害のある児童生徒等が障害のない児童生徒等と共に教育を受けられるよう配慮しつつ,必要な施策を講じること。
(2)手続等についての情報の提供 一 盲学校、聾学校及び養護学校への就学(一)就学の決定 (2)手続等についての情報の提供
盲者(強度の弱視者を含む。)、聾者(強度の難聴者を含む。)、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)で学校教育法施行令第二二条の三に規定する盲学校、聾学校又は養護学校に就学させるべき障害の程度(以下「就学基準」という。)の児童生徒については、市町村の教育委員会が障害の状態に照らして、小学校又は中学校において適切な教育を受けることができる特別の事情があると認める者(以下「認定就学者」という。)を除き、盲学校、聾学校及び養護学校において教育すること。  市町村の教育委員会は,乳幼児期を含めた早期からの教育相談の実施や学校見学,認定こども園・幼稚園・保育所等の関係機関との連携等を通じて,障害のある児童生徒等及びその保護者に対し,就学に関する手続等についての十分な情報の提供を行うこと。
(3)意向の尊重   (3)意向の尊重
 市町村の教育委員会は,改正後の学校教育法施行令第18条の2に基づく意見の聴取について,最終的な就学先の決定を行う前に十分な時間的余裕をもって行うものとし,保護者の意見については,可能な限りその意向を尊重しなければならないこと。
   
  一 盲学校、聾学校及び養護学校への就学  2 特別支援学校への就学
  (1)就学先の決定
  視覚障害者,聴覚障害者,知的障害者,肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)で,その障害が,学校教育法施行令第22条の3に規定する程度のもののうち,市町村の教育委員会が,その者の障害の状態,その者の教育上必要な支援の内容,地域における教育の体制の整備の状況その他の事情を勘案して,特別支援学校に就学させることが適当であると認める者を対象として,適切な教育を行うこと。
  (2)障害の判断に当たっての留意事項
  ア 盲者(強度の弱視者を含む。) ア 視覚障害者
ア 視覚障害者 専門医による精密な診断に基づき総合的に判断を行うこと。なお、年少者、知的障害者等に対する視力及び視力以外の視機能の検査は困難な場合が多いことから、一人一人の状態に応じて、検査の手順や方法をわかりやすく説明するほか、検査時の反応をよく確認すること等により、その正確を期するように特に留意すること。 専門医による精密な診断に基づき総合的に判断を行うこと。なお,年少者,知的障害者等に対する視力及び視力以外の視機能の検査は困難な場合が多いことから,一人一人の状態に応じて,検査の手順や方法をわかりやすく説明するほか,検査時の反応をよく確認すること等により,その正確を期するように特に留意すること。
  イ 聾者(強度の難聴者を含む。) イ 聴覚障害者
イ 聴覚障害者 専門医による精密な診断結果に基づき、失聴の時期を含む生育歴及び言語の発達の状態を考慮して総合的に判断を行うこと。  専門医による精密な診断結果に基づき,失聴の時期を含む生育歴及び言語の発達の状態を考慮して総合的に判断を行うこと。
    ウ 知的障害者
ウ 知的障害者 知的機能及び適応機能の発達の状態の両面から判断すること。標準化された知能検査等の知的機能の発達の遅滞を判断するために必要な検査、コミュニケーション、日常生活、社会生活等に関する適応機能の状態についての調査、本人の発達に影響がある環境の分析等を行った上で総合的に判断を行うこと。  知的機能及び適応機能の発達の状態の両面から判断すること。標準化された知能検査等の知的機能の発達の遅滞を判断するために必要な検査,コミュニケーション,日常生活,社会生活等に関する適応機能の状態についての調査,本人の発達に影響がある環境の分析等を行った上で総合的に判断を行うこと。
    エ 肢体不自由者
エ 肢体不自由者 専門医の精密な診断結果に基づき、上肢、下肢等の個々の部位ごとにとらえるのでなく、身体全体を総合的に見て障害の状態を判断すること。その際、障害の状態の改善、機能の回復に要する時間等を併せ考慮して判断を行うこと。  専門医の精密な診断結果に基づき,上肢,下肢等の個々の部位ごとにとらえるのでなく,身体全体を総合的に見て障害の状態を判断すること。その際,障害の状態の改善,機能の回復に要する時間等を併せ考慮して判断を行うこと。
    オ 病弱者(身体虚弱者を含む。)
オ 病弱者(身体虚弱者を含む。) 医師の精密な診断結果に基づき、疾患の種類、程度及び医療又は生活規制に要する期間等を考慮して判断を行うこと。  医師の精密な診断結果に基づき,疾患の種類,程度及び医療又は生活規制に要する期間等を考慮して判断を行うこと。
  (三) 認定就学者の認定に当たっての留意事項  
  小学校,中学校又は中等教育学校の前期課程への就学  3 小学校,中学校又は中等教育学校の前期課程への就学
(1)特別支援学級 学校教育法第七五条第一項及び学校教育法施行規則第七三条の一八の規定に基づき特殊学級を置く場合には、以下の各号に掲げる障害の種類及び程度の児童生徒を対象として適切な教育が行われることが適当であること。  学校教育法第81条第2項の規定に基づき特別支援学級を置く場合には,以下の各号に掲げる障害の種類及び程度の児童生徒のうち,その者の障害の状態,その者の教育上必要な支援の内容,地域における教育の体制の整備の状況その他の事情を勘案して,特別支援学級において教育を受けることが適当であると認める者を対象として,適切な教育を行うこと。
  障害の判断に当たっては、障害のある児童生徒の教育の経験のある教員等による観察・検査、専門医による診断等に基づき教育学、医学、心理学等の観点から総合的かつ慎重に行うこと。  
     ア 知的障害者
 ア 知的障害者 知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通に軽度の困難があり日常生活を営むのに一部援助が必要で、社会生活への適応が困難である程度のもの  知的発達の遅滞があり,他人との意思疎通に軽度の困難があり日常生活を営むのに一部援助が必要で,社会生活への適応が困難である程度のもの
     イ 肢体不自由者
 イ 肢体不自由者 補装具によっても歩行や筆記等日常生活における基本的な動作に軽度の困難がある程度のもの  補装具によっても歩行や筆記等日常生活における基本的な動作に軽度の困難がある程度のもの
     ウ 病弱者及び身体虚弱者
 ウ 病弱者及び身体虚弱者 一 慢性の呼吸器疾患その他疾患の状態が持続的又は間欠的に医療又は生活の管理を必要とする程度のもの   一 慢性の呼吸器疾患その他疾患の状態が持続的又は間欠的に医療又は生活の管理を必要とする程度のもの
  二 身体虚弱の状態が持続的に生活の管理を必要とする程度のもの   二 身体虚弱の状態が持続的に生活の管理を必要とする程度のもの
     エ 弱視者
 エ 弱視者 拡大鏡等の使用によっても通常の文字、図形等の視覚による認識が困難な程度のもの  拡大鏡等の使用によっても通常の文字,図形等の視覚による認識が困難な程度のもの
     オ 難聴者
 オ 難聴者 補聴器等の使用によっても通常の話声を解することが困難な程度のもの  補聴器等の使用によっても通常の話声を解することが困難な程度のもの
     カ 言語障害者
 カ 言語障害者 口蓋裂、構音器官のまひ等器質的又は機能的な構音障害のある者、吃音等話し言葉におけるリズムの障害のある者、話す、聞く等言語機能の基礎的事項に発達の遅れがある者、その他これに準じる者(これらの障害が主として他の障害に起因するものではない者に限る。)で、その程度が著しいもの  口蓋裂,構音器官のまひ等器質的又は機能的な構音障害のある者,吃音等話し言葉におけるリズムの障害のある者,話す,聞く等言語機能の基礎的事項に発達の遅れがある者,その他これに準じる者(これらの障害が主として他の障害に起因するものではない者に限る。)で,その程度が著しいもの
  キ 情緒障害者   キ 自閉症・情緒障害者
 キ 自閉症・情緒障害者 一 自閉症又はそれに類するもので、他人との意思疎通及び対人関係の形成が困難である程度のもの   一 自閉症又はそれに類するもので,他人との意思疎通及び対人関係の形成が困難である程度のもの
  二 主として心理的な要因による選択性かん黙等があるもので、社会生活への適応が困難である程度のもの   二 主として心理的な要因による選択性かん黙等があるもので,社会生活への適応が困難である程度のもの
  (2)通級による指導 (2)通級による指導
  学校教育法施行規則第七三条の二一第一項の規定に基づく通級による指導を行う場合には、以下の各号に掲げる障害の種類及び程度の児童生徒を対象として適切な指導が行われることが適当であること。  学校教育法施行規則第140条及び第141条の規定に基づき通級による指導を行う場合には,以下の各号に掲げる障害の種類及び程度の児童生徒のうち,その者の障害の状態,その者の教育上必要な支援の内容,地域における教育の体制の整備の状況その他の事情を勘案して,通級による指導を受けることが適当であると認める者を対象として,適切な教育を行うこと。
  障害の判断に当たっては、障害のある児童生徒に対する教育の経験のある教員等による観察・検査、専門医による診断等に基づき教育学、医学、心理学等の観点から総合的かつ慎重に行うこと。その際、通級による指導の特質に鑑み、個々の児童生徒について、通常の学級での適応性、通級による指導に要する適正な時間等を十分考慮すること。  障害の判断に当たっては,障害のある児童生徒に対する教育の経験のある教員等による観察・検査,専門医による診断等に基づき教育学,医学,心理学等の観点から総合的かつ慎重に行うこと。その際,通級による指導の特質に鑑み,個々の児童生徒について,通常の学級での適応性,通級による指導に要する適正な時間等を十分考慮すること。
     ア 言語障害者
 ア 言語障害者 口蓋裂、構音器官のまひ等器質的又は機能的な構音障害のある者、吃音等話し言葉におけるリズムの障害のある者、話す、聞く等言語機能の基礎的事項に発達の遅れがある者、その他これに準じる者(これらの障害が主として他の障害に起因するものではない者に限る。)で、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度のもの  口蓋裂,構音器官のまひ等器質的又は機能的な構音障害のある者,吃音等話し言葉におけるリズムの障害のある者,話す,聞く等言語機能の基礎的事項に発達の遅れがある者,その他これに準じる者(これらの障害が主として他の障害に起因するものではない者に限る。)で,通常の学級での学習におおむね参加でき,一部特別な指導を必要とする程度のもの
     
 イ 自閉症者  イ 情緒障害者   自閉症又はそれに類するもので,通常の学級での学習におおむね参加でき,一部特別な指導を必要とする程度のもの
一 自閉症又はそれに類するもので、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度のもの
     
 ウ 情緒障害者 二 主として心理的な要因による選択性かん黙等があるもので、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度のもの  主として心理的な要因による選択性かん黙等があるもので,通常の学級での学習におおむね参加でき,一部特別な指導を必要とする程度のもの
     
 エ 弱視者 拡大鏡等の使用によっても通常の文字、図形等の視覚による認識が困難な程度の者で、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とするもの  拡大鏡等の使用によっても通常の文字,図形等の視覚による認識が困難な程度の者で,通常の学級での学習におおむね参加でき,一部特別な指導を必要とするもの
     オ 難聴者
 オ 難聴者 補聴器等の使用によっても通常の話声を解することが困難な程度の者で、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とするもの  補聴器等の使用によっても通常の話声を解することが困難な程度の者で,通常の学級での学習におおむね参加でき,一部特別な指導を必要とするもの
     カ 学習障害者
 カ 学習障害者    全般的な知的発達に遅れはないが,聞く,話す,読む,書く,計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示すもので,一部特別な指導を必要とする程度のもの
     キ 注意欠陥多動性障害者
 キ 注意欠陥多動性障害者    年齢又は発達に不釣り合いな注意力,又は衝動性・多動性が認められ,社会的な活動や学業の機能に支障をきたすもので,一部特別な指導を必要とする程度のもの
     ク 肢体不自由者,病弱者及び身体虚弱者
 ク 肢体不自由者,病弱者及び身体虚弱者 肢体不自由、病弱又は身体虚弱の程度が、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度のもの  肢体不自由,病弱又は身体虚弱の程度が,通常の学級での学習におおむね参加でき,一部特別な指導を必要とする程度のもの
  その他   2 留意事項(種々シュジュ留意リュウイ事項ジコウされているが、このヒョウでは省略ショウリャク
  (1)重複障害のある児童生徒等について  4 その他
  (一) 二つ以上の障害を併せ有する者について (1)重複障害のある児童生徒等について
(1)重複障害のある児童生徒等について 二つ以上の障害を併せ有する者については、その併せ有する障害の種類、程度の軽重等を考慮して最も適切な就学すべき学校の決定等(盲学校、聾学校若しくは養護学校に就学させ、又は、特殊学級において教育する等)を行うこと。  重複障害のある児童生徒等についても,その者の障害の状態,その者の教育上必要な支援の内容,地域における教育の体制の整備の状況その他の事情を勘案して,就学先の決定等を行うこと。
    (2)就学義務の猶予又は免除について
(2)就学義務の猶予又は免除について 治療又は生命・健康の維持のため療養に専念することを必要とし、教育を受けることが困難又は不可能な者については、保護者の願い出により、就学義務の猶予又は免除の措置を慎重に行うこと。  治療又は生命・健康の維持のため療養に専念することを必要とし,教育を受けることが困難又は不可能な者については,保護者の願い出により,就学義務の猶予又は免除の措置を慎重に行うこと。
     
  第二 相談支援体制及び就学指導体制の整備 第2 早期からの一貫した支援について
  一 相談支援体制の整備  1 教育相談体制の整備
  二 就学指導体制の整備  2 個別の教育支援計画等の作成
  (一) 就学指導委員会  早期からの一貫した支援のためには,障害のある児童生徒等の成長記録や指導内容等に関する情報について,本人・保護者の了解を得た上で,その扱いに留意しつつ,必要に応じて関係機関が共有し活用していくことが求められること。
改正令に基づき市町村の教育委員会は適切な就学指導を行うため専門家の意見を聴くことが必要となるが、障害の種類、程度等に応じて教育学、医学、心理学等の観点から総合的な判断を行うため、適切な就学指導のための調査・審議機関(以下「就学指導委員会」という。)を今後も設置することが重要であること。  このような観点から,市町村の教育委員会においては,認定こども園・幼稚園・保育所において作成された個別の教育支援計画等や,障害児相談支援事業所で作成されている障害児支援利用計画や障害児通所支援事業所等で作成されている個別支援計画等を有効に活用しつつ,適宜資料の追加等を行った上で,障害のある児童生徒等に関する情報を一元化し,当該市町村における「個別の教育支援計画」「相談支援ファイル」等として小中学校等へ引き継ぐなどの取組を進めていくことが適当であること。
また、都道府県の教育委員会においても盲学校、聾学校及び養護学校における教育内容等について専門的な立場で調査・審議を行う就学指導委員会を設置することが適当であること。  
さらに、単に、就学基準に該当することの判断のみならず、認定就学者の認定の判断に当たっても就学指導委員会を設置する等により専門家の意見を聴くことが重要であること。  
  (二) 就学指導に当たっての留意事項  3 就学先等の見直し
  市町村の教育委員会は、障害のある児童生徒の就学に関して、学校の校長との連絡が重要であるとともにその障害に応じた教育内容等について保護者の意見を聴いた上で就学先について総合的な見地から判断することが大切であること。具体的には、就学指導委員会において保護者の意見表明の機会を設ける等の方法が考えられること。  就学時に決定した「学びの場」は,固定したものではなく,それぞれの児童生徒の発達の程度,適応の状況等を勘案しながら,柔軟に転学ができることを,すべての関係者の共通理解とすることが適当であること。このためには,2の個別の教育支援計画等に基づく関係者による会議等を定期的に実施し,必要に応じて個別の教育支援計画等を見直し,就学先等を変更できるようにしていくことが適当であること。
     4 教育支援委員会(仮称)
  また、教育委員会は就学指導に当たり障害のある児童生徒の教育内容等について専門家の意見を聴く機会を提供する等、保護者に対し情報の提供に努めることが大切であること。  現在,多くの市町村の教育委員会に設置されている「就学指導委員会」については,早期からの教育相談・支援や就学先決定時のみならず,その後の一貫した支援についても助言を行うという観点から機能の拡充を図るとともに,「教育支援委員会」(仮称)といった名称とすることが適当であること。
  さらに、児童生徒の就学後においても、障害の状態の変化等に応じて適切な教育が行われることが大切であり、学校内の就学指導委員会、教育委員会の就学指導委員会等により、就学指導のフォローアップが適切に行われることが重要であること。